19981110日火曜日 五台山654mpm0:004:00

舞鶴自動車道を春日(かすが)で降りて20,氷上郡氷上町に在り、展望よし、滝あり、丹波の秘められた名山の一つ。(五台山654m

岩滝寺(がんろうじ)付近の駐車場から直ぐの所で滝が見える、独鈷(どっこ)の滝、落差15mほどの優美な滝である、一筋の白い糸を引いたように滝壷へ落ちている。滝を見ながら石段を上って右が浅山不動尊、左へ滝の上に出て、小さな渓谷、藤の目渓谷沿いの石廊が登山道である。

しばらくして渓谷を離れ、杉ヒノキが植林された尾根筋へ来たあたりから、霧のような雨が降りだした。山での雨は辛い。

沈黙の行脚(あんぎゃ)が続いていた、疲労もピークを通り越し意識も朦朧(もうろう)としてきた(そんな事ないか!)とにかくえらい!心臓の鼓動が危険信号を鳴らしていた。

体を濡らさない為の雨具が逆効果、11月で全身汗びっしょり、疲労した体に追い討ちをかけた。

濡れた体を拭きながら、辺りを見回していた。山頂を示す看板『ふるさと50山(五台山654m)』と石仏がある、二等三角点を示すコンクリートブロック、丸太でこさえられた見晴台(みはらしだい)があった。

頼りなく崖にせり出した見晴台は場所や物は違っていても、子供の頃に(とりで)ごっことか言って遊んだそれに似ていた。その砦に似たそれは、立ち込めたガスの中に沈んでいた。

遮る物のない山頂の風は、濡れた体を冷やすばかりであったが、天候は急速に回復していった。お昼の食事を終えた頃には風は収まりガスは去って、日が射し始めた。

軽い気配に後ろを振り返ると、今までガスに隠されて存在すら定かでなかった谷向こうの山が覆いかぶさるほどの勢いで間じかに見え、突然の出現に驚かされた。

眼下には雨上がりの濡れた路面が日差しに照らされ、きらきらと光輝き川のように山里の中をくねりながら伸びていた。

「アラー、綺麗な虹が出てる!」

家内の声に目をやると、水蒸気を湯気のように上げる幾つもの山々を大きく跨いだ(また)虹がくっきりと出ていた。

 見事な虹が・・・

こういう体験はめったとないことであろう、
山行きの経験が浅い我々に、良いお土産が出来たことは言うまでもないが。

沈黙(ちんもく)行脚(あんぎゃ) 98.11.10 池田秀信

春の五台山
199945日 pm2:556:40単独 (カタクリの里から五台山へ)


ハナネコノメ『花猫目』

ミヤマカタバミ『深山傍食』

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