向山連山(石生奥山)、花のたび 
向山連山 2005.04.18
観音堂登山口から登りだす。
二ノ山を目指す、標高280bこれがかなり厄介であった。
獣除けのネットがされている、とびらに『開けたら閉めて下さい』
の立て札がある。

雑木林の尾根道を行く、かなりキツイ、急坂が続くつづら折れから
また直登と高度を一気に稼いでゆく。
 早々にミツバツツジ
(コバノ)が迎えてくれる。
鮮やかな紅紫色の花を咲かせた、ミツバツツジは春の山行きを
いっそう楽しいものにしてくれる。

 岩座展望所、水分れ公園が眼下に見える。
二ノ山では山行きが始まったばかりなのに本格的に
休憩モードに入ってしまっていた。

 今、岩座展望所にて岩に腰を落として、またまた
休憩タイム、珪石山や清水山方面が手にとるように見える。
 どの山まで歩き、どこから降りてくるのか判らないが、
これから行こうとする連山をぼんやりと眺めていた。

展望所近くにヒメヤシャブシ(姫夜叉五倍子)が花を
咲かせていた。


 三ノ山(470m)を過ぎた辺りだろうか、
日陰ツツジが目に入ってきた、今回の山行きは日陰ツツジに出会うことが楽しみの
花の旅である、山の案内書に『特に日陰ツツジは関西地方最大の群生地のひとつ』
と書かれていた。ツツジの仲間で黄色の花が咲くのは
(変種を除いて)この日陰ツツジだけ、
常緑の低木、葉は革質で私は石楠花(シャクナゲ)に似ているなと思っている。

 日陰ツツジを目にするのはこれが初めてではない、篠山の小金ガ岳、筱見四十八滝と、
幾度か見ているが、この控えめな薄黄色の花はいつ見ても見飽きない魅力を持っている。
ただ、日陰ツツジは山地の岩場や崖に生える、出会いはいつも危険な岩の上…であった。

道は小さなピークから急激な下りになっている。

 ロープが添えられ、岩肌がむき出しの垂直に落ち込んだ道があらわれていた。
目の前の日陰ツツジが乱れ咲く有り様は見事であった、けわしい山容によく似合っていた。

やはり出会いは危険な岩の上、「やはりな!!」と繰り返しながら、ロープに助けられ、
急激な下りをずり落ちていった。
 次のピークの四ノ山が目の前に大きな姿を見せていた。

 四ノ山(514m)を過ぎても厳しいアップダウンは続いた、
松の台展望所では、先ほど道端で休んだばかりなので、ちらっ
と展望して先を急ぐことにした。

 深坂北峰をクリア、ツツジが丘展望所をお食事処にと選んで
いたが展望所は先客の団体様に占領されていた、
「こんにちは、山頂まではどれ位ですか?」
「ピーク、ふたつ」
ていねいに教えて頂き、頑張れと後押された様だ。

 占領され、仕方ないので先へ行くことに、座りやすい場所
で遅いお昼を済ました、また別の団体さんと出会った。
「下りは滑りやすいので気をつけて」
貴重なアドバイスと危険な宿題をいただいてしまった。

 向山三角点
(569m)をクリア、腐葉土に覆われた穏やかな尾根
道を行く、疲労感は有るもののじつに快適である、日陰ツツジ
の群生はまだまだ続く、足元にはスミレがポッポッと散らばっ
て咲いているのが見られる、葉の表面の葉脈に沿って白い斑が
付いていた。

 五ノ山
(連山最高穂(591m))に着く、
向山、五ノ山はともに展望がきかない立ち木の中である。
危険な宿題を抱え次のピーク、蛙子峰へ向かう。

尾根道の正面に大きな岩のかたまりがドスンと置かれたように道を遮っている。
いよいよ始まったかと、少し不安な気持ちで、道はどこにあるかと辺りを探し始めた。
道をふさいだ大きな岩に目の高さくらいに「向山連山」の小さな立て札がある。
どちら方面へとは記していない、「向山連山」と書かれただけの立て札が、意図したか
のように右肩上がりに成っている、右に進めと言うことか?

 岩に沿って右に進み尾根の肩へ出た、岩の付け根に靴で踏まれて出来た細い道が続い
ている。岩の根元の細い道は片側が足元から急傾斜に落ち込み、先は深い樹林帯である。
岩を巻くように出来たか細い道を進むと、目の前を遮るものが無く景観は良いが、やたら
高度感を煽(あお)られた。


岩をやり過ごすと細い道は消えて岩場の斜面になる。
谷側にかすかな道らしい筋はあるが僕らが進めそうな代物ではない。
同行の家内が「上は?」と問いかける、急な斜面の岩肌に、赤土が塗
(まぶ)された様に
付いている、登山者の靴が運んだものだろうか?

 「上を見てくる!」
と言い残し家内は
34bの急斜面を這い登っていく、見ている側がハラハラする。
えらそうな事を言って登っていたが、先ほど平坦な尾根道で小さな切り株に足を捕られ、
腐葉土の上に転んだばかりである。

「ある、ある!」、「道が続いてるよ!」と少し遠ざかった声で聞こえてきた。

後を追って急な岩肌を登っていく、視界の効いた中に珪石山だろうか春の装いである。
盛りを幾分過ぎたコブシ
(タムシバ)が遠目に白く光る、山桜のピンク、芽を吹き出した若葉
の萌黄
(もえぎ)色、山肌は春色に霞んだモザイク模様に染められていた。

向山連山(石生奥山)、花のたび
池田秀信 2005.04.18

水分れ公園へ流れ込む
沢にヤマブキ
公園近くにはシャガ
珪石山から水分れ公園への下山道に
コブシ(タムシバ)、 木々の向こうに
今歩いてきた山々の凛とした姿が見える。
珪石山から麓まで、激しい下りの連続、
長いロープが添えられ一気に下る
コバノミツバツツジ:他のミツバツツジより葉が小さいのでこの名がある。
余談ですが、ヤシャブシの仲間で
『オオバヤシャブシは養分の少ないやせ地に強く、また根が深く、生長が早いことから、
治山や緑化を目的に植樹されたらしい。六甲山系で、崖崩れを防ぐために人工的に500万本近く
植樹されたものが、大きくなって最近多量の花粉を飛ばすようになり、この地区に特異的な花粉症を
引き起こしている。また全国的に植樹されているため、新興住宅地を中心に花粉症の発生が
報告されている。』らしい。製薬会社
(目薬)オオバヤシャブシの花粉メモ
より
フイリシハイスミレ:シハイスミレの変種・葉の表面の葉脈に沿って白色の班が入る

コブシ:花の下に小さな葉が1枚つくのが特徴。よく似たタムシバとはここで区別する

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